2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

013 硝子戸の中

好きな一文 私がHさんからヘクトーを貰った時の事を考えると、もう何時の間にか三、四年の昔になっている。 理由 この章に限らず、この短編集は各章の、第1文のことばが、はっきりしていて、テンポもよく、心にポンッと入ってきます。次をつい読み進めてしま…

012 道草

好きな一文 「己は決して御前の考えているような冷酷な人間じゃない。ただ自分の有っている暖かい情愛を堰き止めて、外に出られないように仕向けるから、仕方なしにそうするのだ」 理由 細君に対する健三の態度が良くない理由として健三自身が細君に言う言葉…

011 三四郎

好きな一文 「熊本より東京は広い。日本より……」で一寸切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。「日本より頭の中が広いでしょう」 理由 三四郎が熊本から上京するときに男が言った言葉です。十代思春期真っ只中の私にとって、人生の可能性が広がったよ…

010 草枕

好きな一文 「山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。 智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情(じょう)に棹(さお)させば流される。意地を通(とお)せば窮屈(きゅうくつ)だ。 とかくに人の世は住みにくい。」 理由 色々いっぱいいっぱいになってく…